「あの、これ色がーーーもしかしたら問題でしたか?」

驚いたように私の手元を見つめる秘書さんと、私の顔を凝視しているクリフォード様のただならぬ様子に後退りしそうになる。

ハンカチで包んだのがよくなかった?
もしかしたらウエットティッシュの方がよかったのかも。

昨日よりも濃い桜色になっているし、香りも強くなっているから、私の保管の仕方が悪くてこの何だかわからないものの価値を下げてしまった何かをしてしまったのかもしれない。

「申し訳ございません」

自分の頭より上に両手を上げて謎のものをハンカチごと献上するように差し出すと、身動きしなかったお二人が私の声に呪縛が解けたかのように動き出した。

クリフォード様が勢いよくつかつかと私の目の前に向かって来る。

と同時に秘書さんは私に背を向けさんとシェリルさんと護衛に向かって「部屋の外に出てください」と告げた。

え、待って。
私だけここに残されてお叱りを受けるのだろうか。

シェリルさんは私を気にしつつと秘書さんに話しかけられ頷くと何かを話ながら護衛の方に囲まれるようにして部屋を出て行ってしまう。