わたし竜王の番(つがい)です  ~気が付けば竜の国~

「色々教えて下さいますか?」そう口に出すのが今の私の精いっぱいだ。

「そうだな。まずは話をしよう」

「お願いします」
私はおとなしくクリフ様に従うことにした。

それから竜の国と地上との関係や竜の国の暮らし、竜王の立場などの話を聞いた。
一度では理解できないことの方が多くてここで生活しながら少しづつ知ってもらうつもりだったのだとクリフ様は言った。

「ところで、その鱗なんだがそれは楓が持っていてくれないだろうか」

私の手に握られたままの濃いピンク色の鱗に二人の目線が落ちる。

「これにはどんな意味があるのですか?」

「お守りのようなものだと思ってくれればいい。
ここは地上より多少気圧が低いがそれさえあれば私が今までのように毎日魔法をかけずとも、身に着けていれば身体の不調を訴えることはないだろう。
楓の苦手な乗り物酔いにも効果があるぞ。他にも免疫力も上がるし、楓にとってマイナスはないはずだ」

竜王の鱗ーーーすごい。
効能を聞く限り、お守りという次元のものじゃない。

「では、ありがたくお借りいたします。ポケットに入れて持ち歩けばいいのですか?でもそれだと無くしそうで怖いような」
それより、ドレスやパジャマにポケットって有るのかな。
お守り袋とか作った方が良いかな。

「それは肌身離さず・・・それは肌に押し当てれば密着するんだ。シャワーを浴びても擦っても楓が剥がしたいと強く思わない限り剥がれることはない」

へぇっと感心していると、クリフ様が早く貼るようにと目で訴えてくる。