開かれた扉の中にはーーー
信じられない世界があった。

そこはだだっ広い大広間だった。
そこには大勢の人がいて何かの懇親会のようなことをしていた。
まさかの状況に足が震える。
何なの、これ。

思わず泣きだしたくなったのに泣かなかった私を誰か褒めて欲しい。

私が想像していたものと全く違う。
場違い感が半端ない。ここにいて大丈夫なのかとどんどん不安になってくる。

クリフォード様の他に誰かがいたとしてももっと少人数で、会議か何かをしているのだと思っていた。

こんな大きな集まりはこれっぽっちも想像していない。
それに、どの人もそれが制服らしきものを着こんでいて私のように華やかなドレスを纏っている者などは一人もいない。

軍服を着ている者、オフホワイトでスタンドカラーの長い上着を着ている者、紫色のフード付きローブを羽織っている者、ラウンドネックでワインレッドの長いワンピースのようなものを着ているものなど。

パッと見たところ男性の方が多いようだけれど、それぞれが何人かで歓談しているといった感じ。

どこかの政治団体や企業のパーティーのようなものなのか、本当にこの集まりの中に私が入っていいものか。

黒服の執事さま(仮)に先導され身体を縮めるようにしてこちらに気が付きチラチラとした人々の視線を感じる。

そんな視線を避けつつ会場の上座の方に歩いていくと、ある所に目が留まる。

クリフォード様だ。

黒地に金の刺繍がされていてひと際煌びやかな軍服を纏ったクリフォード様が金髪の秘書さんや群青色の護衛さんたちに囲まれ中央の立派な椅子に座っているのだ。