「でも、ただの死罪ではございません。今までの怠慢を取り戻すように陛下の元で死んだように働くと言う意味でございます。
ーーだいたい、マルドネス様は今までがサボりすぎていたんです。ヘストンさんからも、陛下の側近たちからも散々愚痴を聞かされていました。
皆さん、口を揃えて仰るのです。”もう少し奥方様から離れて働いて欲しい”と」

私の言葉にクリフ様は笑顔になり、マルドネス様とアリアナ様は目を丸くした。

「ええ、ですから、しっかりと死ぬ気で働いていただきましょう。この先、ヤナーバル様のお家は処分されるでしょう?その穴埋めと今まで働かなかった分、それと私と陛下が過ごす時間も作っていただかないと。
9時登庁18時退勤。忙しい時は残業ありです。今までのように13時登庁、16時退勤で週休4日とかは絶対に許しませんから。
ああ、育児休暇は差し上げますけど、マルドネス様のご家庭は乳母も侍女もいますから長期休暇はダメですよ。時短にするとか上手に使ってくださいね。
ああ、いい忘れてましたけど、フレックスタイム制はオッケーです」

言い終えると、私はクリフ様に微笑んだ。
「ね、陛下」

「そうだな。楓は執務室の現状をよく知っているからな。いい処罰だ」

私はクリフ様の膝の上でいい子だと頭を撫でられていた。
ちょっと子供っぽくて恥ずかしいけれど、これはこれでいいんじゃないだろうか。
私たちは見つめ合って微笑んだ。