カキンカキンと金属同士がぶつかる嫌な音がする中、マルドネス様の隣に立っていたクリフ様がカッと目を見開き剣を抜いたと思うとびゅんとひと振りした。
ガンガンっとクリフ様の足元に矢が落ちていく。

矢がクリフ様を狙っていた。
そんな、そんなことが起こるなんて。
足元から崩れ落ちていきそうなほどの恐怖を感じる。

誰が狙われているの?
アリアナ様とそのお子様?
まさか、クリフ様なの?

あの矢は真っ直ぐクリフ様を狙って飛んできたような気がする。

「捕えろ!」
クリフ様の指示に矢が飛んできたと思われる方向にリクハルドさんが駆けだし、クリフ様はもと居た応接室のドアを開けてアリアナ様たちに入るよう促している。

そんな時だった。
たった今まで集団の一番後ろで怯えて震えていた様子だったアリアナ様の侍女の手が動いたのは。
彼女の手には細く尖った特徴的なナイフが握られていて、なぜか彼女の手は全く震えていない。

応接室のドアを支えマルドネス様とアリアナ様を誘導していたクリフ様の背後に回りナイフを持った手を振り上げるのが震える私の目にもはっきりと見えた。