ヴィーが目を閉じて何か念じたと思ったら、ぼふっと目の前にリチャード様から頂いたローブが、それに続いて以前お借りしたペンダントが次々と落ちてきた。

ーーーそれを着けていけ。今、竜の国の中には竜王のやり方をよく思わない奴がいるようだ。竜族至上主義の先鋒のような男がヤナーバルだったからな。ヤナーバルが処分され竜王に反感を持ったものが多くはないがいるのも事実だ。
原因となったお前にも反感を持つものがいないとも限らない。今、鱗をはがしているお前は竜王の庇護がなく無防備だ。
ここに居れば安全だが、あちらでは何もないとは言えん。---

そうか・・・そうだよね。
以前聞いたことがあったっけ。竜の国は実力社会だけど、一部に竜の純血種にこだわる竜族もいると。
だからこそ、貴族の純血種であるヤナーバル様やミーナ様はあのような高圧的な態度だったのだし。

私など何の力もない人間なんだものそのような竜族から見たら反感を持たれて当たり前だわ。

ペンダントを首から下げて魔法省の役人が着るローブをしっかり着込みフードを目深にかぶった。

「これでいいかしら?」

ヴィーに見せるためにクルっと回転してみせた。

ヴィーはうむと頷いて私に背中に乗るように促した。

ーーー気配を消して宮殿の中庭に降り立つ。そこから先には一人で行け。いいな。ーーー

私はごくりと喉を鳴らして深く頷いた。