オリエッタさんに精神安定効果のあるお茶をもらって横になると、そのまま眠ってしまい気が付けば、翌朝と言うより既にお昼に近い時間になっていた。

「・・・寝すぎて頭がぼーっとするわ」

顔も体もむくんでいる気がする。だるい身体を動かしてバスルームへと向かった。

聞けばクリフ様は夕食時に顔を出したのだが私が眠っていることを知ると、私が目覚めたら呼ぶように言って就寝時間まで帰ってこなかったのだとか。

夜は私の眠る寝室に戻りいつものように隣のベッドで寝ていたらしいが、私がいつもの朝食時間になっても起きなかったのでコーヒーだけ飲んで宮殿に行かれたというのだ。

申しわけない気持ちもするけど、眠っていて彼と話をせずに済んだことはありがたい。

こちらも、いきなり見知らぬ女性にあなたの婚約者の本命は私よ、あなたは政略結婚の相手で愛なんてないわ的なことを言われて動揺してしまったのだから。

オリエッタさんによると、クリフ様はずいぶんと私の様子を気にかけていたらしい。
それは有り難いと思うけれど、昨日の出来事があったことを思うと素直には受け取ることができない。

クリフ様には番を失うわけにいかない事情があるのだ。
恋愛感情と番の関係は、なんて今は怖くて聞けない。

シャワーを浴びて着替えをすると、そろそろお昼ご飯の時間になるところだった。

少なめの昼食を取ると、私は中庭に向かった。
あのハーピアの場所だ。

昨日のよそいきのドレスはネリーが魔法で汚れ落としをしてくれたのだけれど、ずいぶんと手間がかかったらしい。
申し訳ないので今日は汚してもいいーーと言われているグリーンのレースや刺繍の少な目なシンプルなドレス姿だった。

今日の護衛はリクハルドさんの部下の方だ。

昨日と同じように少し離れたところから見守ってもらうことにしてごろんっとハーピアの中に寝ころんだ。