また、戯れ言…。
「どんな人…なのかなぁ……」
とそう言う愛梨の顔は、少し楽しみそうにも見えて。
何かムカつく。
浮かれてるんだかなんだか知らないけど。
……。
「行く訳?」
自分でも、こんな嫌味な言い方…って、
とりあえずは思うけど。
自分はどうなんだ。ってもし言われたら、何も言い返せやしないのに。
自分は良くて愛梨は駄目。
そんなの、って感じだよね…
と苦笑い。
「名前」
「…え?」
唐突に話し始めた俺にポカンと口を開いたまま固まる。
これも見慣れた。
「書いてなかったんでしょ?」
俺がそう言うと、やっぱりすぐじゃなくてしばらくして。
「あ…あぁ!!
うん!そうだよ…?だけど、それがどうしたの?」
“それがどうしたの?”
って、
よく言えるよね、本当この鈍感女。
「どんな人…の前に考えることあるでしょ、普通」
「…考える、こと?」
首を少し傾げて目をパチパチ。
なんかこっちがバカらしくなってきた。
「“怪しい”とか“怖い”とか」
普通の一般的な女ならギャーギャー言ってそうだけど…
やっぱり違うね、面白いけど…複雑。
って、まぁそんな感じ。