あ。
でも考えてみたら凄い簡単なことなのかもしれない……
だって、樹が毎回毎回あたしの恋路を邪魔してたんだもん。
そりゃぁ何も無い訳だよね。
「あの、さぁ…」
「……あ!はいっ」
シーン。
「えーと話なんだけど…」
「うん…」
どんどんと空気がしっとりしてくる。
あたし…やっぱり苦手だよぉ!こういうのって本当に……
「直球にいくけど…
好きなんだ、桐島さんのことが俺!矢上がいんのは分かってるけど…気持ちは伝えたいって思ったから」
力強い眼差しがあたしに突き刺さる。
キャァー…?!
告白ってこういうもんなの??
何かあたしには慣れなくて、どうも…心が落ち着かないというか手の中に汗が滲むというか。
“返事”なんて決まってるのに。
ドキドキ、するんだね…こういうものって。
「気持ちは…嬉しいよ?ありがとう。
でもあたし、樹がいるし…樹が大好きだから……」
口がペラペラと上手く話す。
えっ!?
…あたし結構、こういう土壇場に強いタイプ?
「…やっぱりそうだよ、な。今日は来てくれてありがとな!じゃぁ!!」
「あ…っ」
そう言うと小川くんはそのまま教室を飛び出して去ってしまった。
……何か、あっという間な感じ。
樹はいつもこんな事を何十回もしたことがあるのかな?

