いつも余裕だとか。

冷血人間だとか。


そんなの周りが作った勝手な俺の人間像で、実際の俺がそうかと聞かれれば…それはなんとも言えない。

俺自身が自分のことを知らないし分からないし。


「そんなに気になる?アイツのこと」

少し刺々しい言い方をしてるのに気が付いてる。

それで多分、分かっててきっと俺はわざと言ってるんだと思う。


「気になるっていうか…
そういうんじゃないんだけど……こう、…何だろう…」

眉を顰めて何かを考える素振りを見せる愛梨に、どうしてもやっぱり無性に腹が立つ。


思うのは、

どうして?なんで?


そんな気持ち。


「じゃぁ助けてやれば?」

クスッと笑うようにして俺は言うと、さっき挟んだしおりを小説から抜き取って再び読み始める。


すると部屋の中の空気は一気に冷たくなって。

一つの音も聞こえなくなっていた。


「…樹?」

悲しげ聞こえるその声に、目が泳ぎそうになる。


分って欲しい。

愛梨の性格上、いくらあんなことをされたとしても昔のことを聞かされて…きっとまだ残るアイツの未練。


それが顔が似てるコイツに注がれてること。

少なくともそれは自分の中にある苛立ち、劣等感、未練、過去、想い、それらの想いを重ねているからで。


だけど違う。



俺はそんなのどうだっていい。


ただ一つ言いたいのは、きっと…分かって欲しいってこと。