「何とかしてあげようよ…」
泣きそうな顔で俺を見上げると、良からぬことを言い出した。
やっぱり。
想像通りで、逆に困る。
「何で?」
けど、真っ先に思うのはコレ。
よりによって何故。
何故、俺がアイツの為に何かをしなきゃいけない訳だ……
意味が通じないね。
「何でって…」
俺が誰かの為に何かをするなんて考えられない。
寧ろ有り得ない。
無いね、果てしなく“0”に近い。
「本当に王子って冷血だねー」
と楽しむように奴わ言った。
実際…
本当に血が冷たかったら死んでるね。
「…そうだよ!
それに、もしかしたら白井くん…まだその梓紗、さんのこと……」
そこまで言うと、バツの悪そうな顔をして押し黙る。
「そんなの分かんないと思うけど」
対して俺は冷たく言い放つ。
人の彼女にわいせつ行為はするし、教室に連れ込むし。
これ、立派な犯罪でしょ。
と…
少し親父みたいなことを思う。
だけどやっぱり、そんな憶測で物を言うべきじゃないって…俺は思う。
周りがどう思ったとしても…
人の本当の気持ちなんて他人には見えない。
それはアイツの気持ちも同じ。