時はまた少し流れて、霜月を迎えた。
十一月である。
新暦では十月になるこの月は、霜が降りる月というだけあって季節は冬だ。
日を追う毎に、寒さが急ぎ足で追いかけてくる。
ハァーと息を吹きかけて指先を温めながら、花菜は空を見上げた。
晴れ渡った朝焼けの空に雲は見当たらない。
空気も乾燥しているので、乾物を作るにはちょうどいい天気だった。
材料になる野菜を取りに向かうと、ちょうどその下屋から小鞠が出てきた。
籠を手にして、満面の笑みを浮かべている。
「姫さま、見てください。また届いておりましたよ」
小鞠が見せた籠の中には、海藻や魚介の干物が入っている。
「すごいわ! 干しアワビまで」
中には高級食材もあった。
それらの食材の下には梶の葉が敷いてあり、葉の隅には、墨である印が書かれている。
『傀』の一文字。
十一月である。
新暦では十月になるこの月は、霜が降りる月というだけあって季節は冬だ。
日を追う毎に、寒さが急ぎ足で追いかけてくる。
ハァーと息を吹きかけて指先を温めながら、花菜は空を見上げた。
晴れ渡った朝焼けの空に雲は見当たらない。
空気も乾燥しているので、乾物を作るにはちょうどいい天気だった。
材料になる野菜を取りに向かうと、ちょうどその下屋から小鞠が出てきた。
籠を手にして、満面の笑みを浮かべている。
「姫さま、見てください。また届いておりましたよ」
小鞠が見せた籠の中には、海藻や魚介の干物が入っている。
「すごいわ! 干しアワビまで」
中には高級食材もあった。
それらの食材の下には梶の葉が敷いてあり、葉の隅には、墨である印が書かれている。
『傀』の一文字。