「だから、おかしいだろう。何で俺が行ったらダメなんだよ」

「哲翔様」

菅原のあきれ顔。



虹子が襲われたと知らせが入ったとき、俺はたまたま家にいた。


「虹子様がお怪我をされて、救急搬送されました。状況は確認中ですが、命に別状はないようです」

それが最初の知らせだった。


「救急搬送って、虹子は実家に泊まりに行っていたはずだろう」

「さようです」

「じゃあ、何で怪我するんだよ」


「今のところは、誰かに襲われたようだとしか分かりません」

「襲われた?」

言い終わらないうちに立ち上がっていた。


「お待ちください。今状況を確認しておりますので、お待ちになってください」

菅原はドアの前を動こうとはしない。