「哲翔さんは英語を話せるの?」
「ああ」
もちろんって声が聞こえてきそう。

「へー」
「ちなみに、フランス語と中国語も簡単な会話ならいける」

凄ーい。
そう言えば海外のお客様も多いって言っていたから、少しくらい話せないとダメなのかなあ。
ただでさえ、お母様からお茶とお花を習いなさいって言われているし、宮家の歴史についても専属の先生が付いて授業が始まっている。
その上英語やフランス語なんて・・・無理無理。

「お前、ダンスは踊れるの?」

えっ。

「パーティーに行けば必要だから、最低限は踊れるようにしておいてくれよ。でないと一緒に行った俺が恥をかく」
「はぁ」
溜息なのか返事なのか、自分でも元気がなくなっていくのが分かった。

「それから」.
「えっ、まだあるの?」
「書道もな。筆で署名をする機会って結構多いから、恥ずかしくない程度の字で頼む」
「はぃ」


一緒にいると益々落ち込みそうで、すぐに部屋に戻ってしまった。
結局これがいつものパターン。