その疑問に、俺は、こうなった原因を頭に浮かべつつ答えた。

「四つ上に姉がいてね。もう嫁いでるんだけど、仕事の関係でたまーに泊まったりするんだ。ここは元々実家なんだけど今は俺だけだし、気兼ねなく自分の荷物やら置いてるってわけ」

そんな俺の説明に、納得の表情を見せた平野さんに俺はシャワーを進めて朝食の準備をする。
フルーツもあったらいいな、確か林檎があるからヨーグルトと一緒にしておこう。

準備をしているうちに、彼女は身支度を整えて出てきた。

「ご迷惑おかけしてすみませんでした」

ペコッと頭を下げる仕草すら可愛らしい。
しかし、そんなこと気にすることもない、俺は彼女の世話を焼きたくって仕方ないからだ。

「さ、こっちに座って。お腹空いたでしょう? 口に合うといいんだが」

テーブルに着いた彼女は、食事を見るとまた目を見開く。

「これ、みんな土居さんが作ったんですか?!」

その驚きを隠さない感じに、ちょっと嬉しくなりつつ答える。

「えぇ、普段はここまでしないけど。平野さんも一緒だからちょっと張り切っちゃったんだ。さ、食べて?」

そんな俺の言葉に、食事に目を輝かせながら彼女は手を合わせてから食べ始めた。
食べ始めた彼女を見つめていると、実に美味しそうに、嬉しそうに食べてくれる。
なんて作りがいのある相手だろう。

ますます彼女を逃してはならないと、胸に強く刻んだのだった。