桜咲く季節がめぐる瞬間(とき)

お互いの想いはすれ違ったまま。


「咲月くん。次、移動教室だよ。早く行かないと」
「そうだっけ!? ちょっと待って!」
「置いていくよ?」
「めぐるくん! 待ってー!」

慌てる彼女に口元が緩む。

『お互いが幸せになるためには、どうすればいい?』

この問いの答えは、まだ見つからない。

「めぐるくん、お待たせ!」

彼女の笑顔を守るためには、どうすることが最善なんだろう。

「遅いよ」


ごめんね、咲月。

もう少し、時間がかかりそうだ。