俺が心音と出会ったのは、約半年前の冬だった。


その頃うちの学校は、同じくヤンキー校みたいに言われてる男子校、石ノ森高校の奴らと対立していて、街中で顔を合わせるとすぐケンカになった。


なぜかお互いライバル意識や縄張り意識を持っていて、石ノ森にはケンカを吹っかけてくる奴らが多かったから、俺の仲のいい友達も散々痛い目に合っていて、俺自身も石ノ森の奴らには敵対心のようなものを持っていた。


帰り道バッタリ会うと、絡んでくる奴らが何人もいたし、そのたびに売られたケンカを買っていた気がする。


そのうえ当時の俺は、ケンカではほとんど負け知らずで、周りからも『椿は強いから、椿がいれば安心だな』みたいに言われて頼りにされていたのもあり、相当余裕をぶっこいてたし、調子に乗っていた。


そんな落ち着きのない毎日を過ごしていたある日のこと。


帰り道俺が一人で歩いていたら、石ノ森の制服を着た三年生の集団とバッタリ会った。相手はガタイのいい男が5人くらいいて、みんな柄の悪そうなやつだった。


なぜか向こうは俺の顔と名前を知っていて、『お前が緑丘の瀬良だな』『この前うちの後輩がお前にやられたらしいじゃねぇか』なんて言いながら口々に詰め寄ってきたので、『うるせぇ。ケンカ売ってきたのはそっちだろ』と言い返してそのまま無視して帰ろうとしたら、突然ケリを入れられた。


『このクソガキが!』


『一年のくせに生意気なんだよ!』