「おい隆太(りゅうた)~、お前合コン全敗ってマジかよ」


「マジだよ。このままだと彼女いない歴そろそろ3年目に突入しちまう」


「ギャハハ!ドンマイ。それにしてもほんと隆太はモテねぇよなぁ~。椿(つばき)なんか見てみろよ。南女(なんじょ)にファンクラブあるんだぜ、こいつ」


「うるせぇ。あんなの全然嬉しくねぇし」


大声で騒ぐ緑丘の男子生徒たちの声に気を取られつつも、マンガアプリに意識を集中させる私。


目を合わせたりしようものなら何を言われるかわからないので、怖い。


「まぁ、南女はケバい女ばっかだからな~。俺も合コンしたいけど、南女の女は嫌だな」


「わかる~。どうせ合コンするなら花園の女子とかがいい」


「おぉっ、花園!いいね~。っていうかさ、あそこにいるJK、花園の子じゃね?」


するとその時、その男子集団の中の一人が急にそんなことを言いだして。驚きのあまり体がビクッと跳ねた。


……ちょっと待って。あそこにいるJKってもしかして……私のこと?


だって、この車両内に花園学園の女子は、私しか乗っていないから。