【完】俺の隣にいてほしい。

お腹がペコペコだったせいか、やけに美味しく感じたので、思わず心の声が外に漏れてしまった。


そんな私を見て、椿くんが少し驚いたように目を見開く。


「なんかお前、初めて食ったみたいなリアクションするな」


「え、いや、久しぶりにハンバーガー食べたから……」


正直に答えたら、彼はますますびっくりしたように目を丸くした。


「マジかよ。花園の女子って、こういう店来ねぇの?」


「う、うん。あんまり……」


確かに椿くんの言うとおり、学校の友達とはあまり来たことがない。


女子校のせいか、先生にもなるべく放課後は寄り道するなって言われてるし、たまに友達とカフェに行くことはあっても、こういう駅前のハンバーガーショップは、不良が溜まってることが多いからって、みんな行きたがらないんだ。


「へぇ。やっぱお前、お嬢様なんだな」


「そ、そんなことないよっ! 私は普通の庶民だからっ」


「ふーん。俺からしたらそうは見えねぇけどな」