【完】俺の隣にいてほしい。

そんな時、椿くんが隣でボソッと一言。


「なんか、腹減ったな」


「えっ?」


「心音は何か食いたいもんある?」


こちらを振り向いたかと思えば、そんなふうに尋ねてくる彼。


えっと……これは、今から一緒に何か食べに行こうってこと?


でも、食べたいものって聞かれても、急には何も思いつかないよ。


「わ、私は特に……っ」


すると、そう答えたところで、突然ギュウゥ……と自分の体の中から間抜けな音が聞こえてきて。ハッとしてお腹を押さえる私。


ひゃあぁっ、どうしよう!


よりによってこんなタイミングでお腹が鳴るなんて……。


そんな私を見て、噴き出すように笑う椿くん。


「ぷっ、なんだよ。心音も腹減ってんじゃん」


「うぅっ……」


やだもう、恥ずかしすぎて穴があったら入りたいよ。


「それじゃ、なんか食いに行くか」


そう言って、顔を真っ赤にしながらうろたえる私の手を引き、歩いていく椿くん。


そのまま私たちは、近くのハンバーガーショップに入った。