【完】俺の隣にいてほしい。

私が小さくうなずくと、急に目を輝かせる彼女。


「やばい、ほんとに超イケメンじゃん! しかもあれ、心音のこと迎えに来たんじゃないの?」


「うぅ、そうなのかな?」


「それ以外考えられないでしょ! ほら、行ってきなよ~」


そう言って、トンと肩を叩いてくる優里亜ちゃん。


だけど私は、とてもじゃないけど自分から声をかける勇気なんて出なくて。


するとそこで、椿くんがふいにこちらを向いたかと思うと、サッと片手を上げた。


「心音!」


大声で名前を呼ばれ、ビクッと体が跳ねる。


あぁ、見つかっちゃった!


そのままこちらへ向かってスタスタと歩いてくる椿くん。


一気にみんなの視線が自分のほうへと集まって、心拍数が上昇する。


挙動不審な私に向かって、椿くんは涼しい顔で言う。


「よかった。心音のこと待ってたんだよ」


「えっ、ま、待ってたの?」


「うん。さっき俺、メッセージ送ったんだけど、気づかなかった?」