【完】俺の隣にいてほしい。

思いがけない彼の言葉に、ドキッと心臓が跳ねる。


なにそれ。挨拶? 私の親にって……。


それってなんだかずいぶん気が早いような気がするけど。


椿くんたら、そんなことまで考えててくれたの? もしかしてそれも黒髪にした理由の一つ?


だとしたら、めちゃくちゃ嬉しいよ。


思わず顔がにやけそうになるのをこらえながら、椿くんのほうを振り向く。


「大丈夫だよ。どんな髪色してても、椿くんは椿くんだから。どんな椿くんでも私は好きだよ」


「……っ」


すると彼は一瞬目を大きく見開いて、それから照れたようにポッと頬を赤く染めた。


そして、ボソッと一言。


「そんな嬉しいこと言われたら、キスしたくなる」


「えっ……」