【完】俺の隣にいてほしい。

私が驚いた顔で尋ねると、椿くんはケロッとした顔で答えた。


「気分転換だよ。金髪もそろそろ飽きたしな」


「そうなんだ、ビックリした。一瞬誰かと思っちゃった」


「はは。それ、学校でもみんなに言われた」


だけど、黒髪の椿くんも、ものすごくカッコいい。


やっぱり彼は顔がめちゃくちゃ整ってるから、どんな髪色でも似合うんだなぁ。


「でも、すごく似合ってるよ。黒髪も素敵だね」


私がそう言って褒めたら、椿くんはいつものように自然に私の手を取ると、嬉しそうに微笑んだ。


「よかった。心音にそう言ってもらえて」


二人並んで駅のほうに向かって歩きだす。


「これで花園来るときも、あんま変な目で見られねーで済むわ」


えっ?


「もしかして、だから黒くしたの?」


「まぁ、それもあるな」


そっか。確かに金髪だと無駄に目立つし、いろんな人からジロジロ見られてたもんね。


するとそこで、付け足すように語る椿くん。


「それにほら、そのうち心音の親に挨拶とかするかもしんねーし、あんな頭じゃ顔合わせらんねーだろ」


「えっ……」