【完】俺の隣にいてほしい。

思いもよらぬ彼の発言に、ビックリして思わず顔を上げる。


ウソでしょ。


ずっと前からって……いつから?


そしたら彼はそっと腕を離し、私をじっと見下ろしながら、ゆっくりと語り始めた。


「心音は覚えてねぇと思うけど、去年の冬、俺たち会ってんだよ」


「えっ、ウソ……」


去年の冬? そうなの?


「俺が他校の奴とのケンカで負けて、傷だらけのまま駅の前で座り込んでた時に、心音がちょうど通りかかって。見ず知らずの俺にカイロとか絆創膏置いていってくれてさ」


そう言われて一瞬、何のことかと思う。


だけど、カイロと絆創膏という言葉で、ふと思い出した。


「……あぁっ!」


そうだ。言われてみれば確かに私、そんなことをした覚えがあるかもしれない。