「ええぇぇぇっ!? 氷上くんに告られたぁ!? そして、振った!?」


翌日。朝登校してさっそく優里亜ちゃんと彩実ちゃんに氷上くんのことを報告したら、案の定めちゃめちゃ驚いた顔をされた。


「ちょっと、なにそれ! このタイミングで? 立て続けに色々ありすぎて私、ついていけなくなりそうなんだけど!」


優里亜ちゃんがバンバンと机をたたきながら身を乗り出してくる。


その横で、複雑な顔をしながらこぼす彩実ちゃん。


「私も……。ビックリしたよ。氷上くんってやっぱり心音のことが好きだったんだね」


「う、うん。私もすごくビックリして……。気持ちは嬉しかったんだけど、断っちゃった」


私が申し訳なさそうにそう言うと、優里亜ちゃんが少し納得いかないような顔で訴えてくる。


「えーっ、そっかぁ。うーん……。でもなんかちょっともったいない気がする。っていうか、氷上くんは相当もったいないよ」


そう言う優里亜ちゃんは、何気に氷上くんのことをかなり推しているみたいで。


逆に、急に別れを告げてきた椿くんに対しては、あれ以来不信感を持っているみたいなんだ。私のことを振り回してその気にさせて、傷つけた相手だって。


そう思う気持ちももちろんわからなくはないし、私のことを思ってくれてるからこそ優里亜ちゃんはそう言ってるってことはわかってる。


それでも私はやっぱり、椿くんを憎むことはできないし、嫌いになんてなれないんだ。


椿くんにひどいことをされたなんて思う気持ちは、私の中には一ミリもない。


それはもしかしたら、私が彼のことを勝手に良く思いたいだけなのかもしれないけど。