【完】俺の隣にいてほしい。

思わぬことを言われてドキッとする。


「いや、ビビってたというかその……普段男の子とあまり話したりしないから、緊張してたというか……」


ビクビクしてたのは本当だけど、今ではもう笑い話だなぁ。


だって、今はこんなにも彼の隣が居心地のいい場所になってる。


出会った頃はこんなに仲良くなれるなんて思ってもみなかったな。


そしてまさか、彼のことを好きになってしまうなんて……。


「でも、今は全然緊張なんてしてないよっ。椿くんといるの、すごく楽しいから!」


私がそう言うと、椿くんが一瞬驚いたように目を丸くして、それから優しく微笑む。


「俺も楽しいよ。心音といると」


「えっ」


「すっげぇ楽しい」


そんなふうに言われたら、嬉しくて顔がにやけてしまいそうになる。


どうしよう。椿くんもそんなふうに思ってくれてるの?


ますますうぬぼれちゃうけど、いいのかな。


「なぁ、あのさ……」


するとそこで、椿くんが私のほうをじっと見たかと思うと。


「心音にとって、俺ってどんな存在?」


「え……?」