【完】俺の隣にいてほしい。

その後、キリンやゾウやライオンなど、色々な動物を見たあと、動物のえさやりができるコーナーに行き、二人でアルパカにえさをあげた。


アルパカといえば毛がぬいぐるみみたいにふわふわしているイメージだけれど、夏のアルパカは体の毛が刈られてしまっていて、とてもやせ細って見える。


だけど、その毛のない姿のアルパカもまたアンバランスな感じでとても可愛かった。


にんじんをあげると喜んでむしゃむしゃと食べてくれて、しまいにはもっとくれと言わんばかりに椿くんのシャツをくわえてきたりして。


「こいつ食いしん坊だな」なんて言いながら笑う椿くんを見て、私もクスクス笑ってしまった。


椿くんと一緒にいると、何をしても楽しくて、笑顔が絶えない。


それになぜだろう。今日の椿くんはいつも以上に優しく感じるというか。


時々意味もなく私のことをじっと見つめてきたり、頭をポンポンと撫でてきたりするものだから、私はそんな彼にずっとドキドキしっぱなしだった。


たくさんの動物と触れ合った後は、園内のフードコートでお昼を食べることにした。


いくつか食べ物のお店があったけれど、私と椿くんはハンバーガーショップでハンバーガーのセットを注文。


二人掛けのテーブルに向かい合って座ると、椿くんが片手でポテトをつまみながら声をかけてきた。


「そういえば、初めてデートした時もハンバーガー食ったよな」


そう言われて、初めて椿くんとハンバーガーショップに行った時のことを思い出す。


椿くん、覚えててくれたんだ。嬉しいな。


「そうだよね。なんか懐かしいね」


「あれからもう2カ月くらい経ったのか。早いな」


たしかに、言われてみればもう、二か月くらい前のことだ。


ということは私、椿くんと出会ってもう2カ月もたったんだなぁ。


なんだか長いようで、あっという間だったような……。


「心音、最初は俺にすげぇビビってたもんな」


「なっ……」