【完】俺の隣にいてほしい。

彼はそう言うと、自分もケースの中に手を伸ばし、ひよこをすくう。


彼の大きな手のひらの中で、ひよこがちょこんと座っている様子はとても可愛かった。


しかも、椿くんが金髪だからひよこの毛の色と合っていて、なんとも言えない一体感があるような……。金髪って、よく見たらひよこの毛に似ているかもしれない。


「すっげーふわふわ。可愛いな」


優しい表情で手に抱えたひよこを見つめる彼を見て、なんだかきゅんとしてしまう。


椿くんもやっぱり可愛いって思うんだ。


だけど、そのまま彼が抱っこしていたら、なぜかひよこが急に目を開けたり閉じたりして、しまいにはなんと眠り始めてしまった。


「あれ? ひよこが寝ちゃった」


「えっ、マジで?」


椿くんの手のひらの上で目を閉じてすやすやと眠るひよこは、なんだかとても気持ちがよさそう。


「ふふ。安心して寝ちゃったのかな。寝顔も可愛いね」


私がそう言うと、椿くんが眉を下げて笑う。


「おいおい。そんなに寝心地良かったのかよ」


そんな彼を見て、動物にも優しいんだなと思ったら、ますます惚れなおしてしまった。


きっと、椿くんの優しさがひよこにも伝わってるんだろうなぁ、なんて。