そのまま彼に手を引かれ、ふれあいコーナーへ向かう。


檻のような建物の中にはウサギやモルモット、ひよこなどたくさんの動物がいて、飼育員さんの監視のもと、自由に動物を抱っこできるようになっていた。


いろんな人が膝の上にモルモットをのせたり、ウサギを撫でたり、ひよこを抱っこしたりして触れ合っている姿が見える。


「わぁ、みんな可愛いね。私、ひよこ触ってみたい」


まずはひよこを抱っこしようと、透明なケースの中でたわむれるひよこに手を伸ばす。


体の部分だけそっとすくい上げるようにして両手で持ち上げたら、ふかふかの黄色い毛が触れて、あまりの可愛らしさにうっとりしてしまった。


「可愛い~! ふわふわしてる」


じっと見つめると、ひよこのつぶらな瞳と目が合って、思わず顔がにやける。


手のひらからひよこの体温が伝わってきて、なんだか幸せな気持ちになる。


「どうしよう。幸せ」


そう言って隣にいる椿くんのほうを振り向いたら、彼がすかさずスマホをこちらに向けて、ひよこを抱っこする私の写真を撮ってくれた。


――カシャ。


「はは。幸せそうな心音の顔、撮れた」


「わぁ、ありがとう」


「俺も抱っこしてみよっかな」