「それじゃ、さっそく連絡先教えて。あと、名前も」


連絡先と言われて一瞬ドキッとしたけれど、慌てて自分もカバンからスマホを取り出す。


そっか、そうだよね。違う学校だし、連絡先くらい教えなきゃダメだよね。


「わ、私は……藤宮心音っていいます」


おそるおそる名乗ったら、彼はなぜか感心したように言った。


「へぇ、心音っていうんだ。名前も可愛いんだな」


「えっ!」


ちょっと待って。今、〝名前も〟って言った?


ということは、名前以外にも何か可愛いと思うところがあるってこと? って、そんなわけないか……。


男の子と話すのに慣れていないせいか、なんだかいちいちドキドキしてしまう。


「学校、花園だよな。何年生?」


「あ、はい。えっと、二年生です」


「えっ、じゃあタメじゃん。俺は瀬良椿(せら つばき)。緑丘工業の二年だよ」


「そ、そうなんですかっ」