そのままギュッと腕の中に閉じ込められ、ドキッと跳ねる心臓。


「……つ、椿くんっ?」


ウソ。ちょっと待って。どうしよう。


私、今、椿くんに……抱きしめられてる?


突然のことに動揺して、頭が真っ白になる。


「あのさぁ、俺、言ったよな」


「えっ……」


「心音の口から他の男の話聞きたくないって」


その瞬間、この前カフェで椿くんに言われた言葉を思い出した。


確かにあの時、椿くんはそんなことを言っていたけれど。あれは、本気だったってことなのかな?


「なんでそんなに嬉しそうにしてんの?」


椿くんが、少し不機嫌そうに聞いてくる。


どうしてそんなこと言うのかな? それじゃまるで……。


「う、嬉しそうになんて、してないよ……」