【完】俺の隣にいてほしい。

その言葉に軽くショックを受ける俺。


友達って……そりゃ友達か。彼氏だなんて言うわけないよな。


「そっか。どうも、はじめまして。氷上って言います」


その男は、爽やかな笑顔を浮かべながら俺に挨拶してくる。


名前まで名乗るなんて律儀な奴だなと思いながらも、返す俺。


「あ、どうも」


するとそこで、心音が少し慌てた様子でその男のことを俺に紹介してくれた。


「あ、あの、氷上くんは中学の同級生でね、部活が一緒だったの。偶然塾で再会して」


「そうそう、そうなんだよね」


それを聞いて、少し納得する。


なるほどな。同中の友達だったのかよ。どおりで仲がいいわけだ。


「そっか。よかったな、知り合いがいて」


なんて、いい奴ぶってみたのはいいけれど、絶対顔が引きつってるような気がする。


「210円のお返しになります。ありがとうございました」


とりあえず釣銭とレシートと、袋に詰めたジュース二本を男に手渡す。


「あ、どうも」


「あの、ま、またねっ。椿くん」


「おう」