【完】俺の隣にいてほしい。

男が何気ない顔でジュース二本をレジ前の台に乗せる。


「ありがとうございます」


複雑な気持ちを顔に出さないよう気を付けながらピッとバーコードを読み取り、合計金額を告げる。


「294円になります」


するとそこで、男の後ろからひょっこりと顔を出した心音が、ようやく俺の存在に気が付いて。


「……えっ。ウソッ! 椿くん!?」


彼女もまた俺を見て、ひどく驚いているようだった。


「お疲れ。俺もビックリした。まさかこんなとこで会うなんてな」


なんて、内心動揺しまくりだけど、落ち着いたふりをしながら答える。


「わ、私もだよっ。バイトしてるって言ってたの、ここのコンビニだったんだね」


「そう。心音は塾の帰り?」


「うん、そうだよ。塾、すぐ近くだから」


するとそこで、隣にいた星川の男が心音に向かって尋ねた。


「あ、もしかして、知り合い?」


「うん。あの、えっと……友達なの」