思いがけない発言に、ドキッとして目を見開く私。


「あ、いや、なんでもない。それじゃ帰ろうか」


氷上くんは少し焦ったようにそう言うと、カバンを持って机から立ち上がる。


だけど私は、彼の意味深な言葉が気になってしまって。


彼のあとを追うように自分も立ち上がったものの、その後もあれこれ考えてしまった。


今の、どういう意味だったんだろう……。


それに、氷上くんが少し照れた顔をしていたように見えたのは、気のせいかな。