【完】俺の隣にいてほしい。

その日、塾での授業が終わった後、私が帰ろうとしていたら、氷上くんが「一緒に帰ろう」と誘ってくれたので、そのまま二人で北桜田駅まで一緒に帰ることになった。


電車で一駅だからあっという間だけど、すでに外が真っ暗だったので、一人で帰るよりはずっと心強い。


電車のドア付近に二人で立って話していたら、ふと氷上くんが私に尋ねてきた。


「藤宮さんもやっぱり、大学受験のために塾通い始めたの?」


そう聞かれて、先日お母さんに怒られた時のことを思いだす。


「えっ……と、まぁ、もちろんそれもあるんだけど……実は最近成績が下がってお母さんに怒られちゃって。それで塾に行きなさいって言われたの。私、特に数学と英語が悪かったから……」


「そうだったんだ」


「だから、次の期末テストでは取り返せるように頑張らなくちゃ」


私がそう言うと、氷上くんがひらめいたような顔をする。


「だったら、俺が勉強教えてあげるよ」


思いがけないことを言われて、ビックリして顔を上げた。


「えっ、ほんとに? いいの?」


「うん、まかせて。俺、数学と英語は得意なほうだし。少しでも藤宮さんの力になれたら嬉しいから」


そんなふうに言ってくれる彼は、一体どこまでいい人なんだろう。


ちょっぴり落ち込んでたところだったから、なんだか救世主でも現れたかのような気分だ。


「今度塾が終わった後、一緒に塾の自習室で勉強しない?」


氷上くんの提案に、私は迷わず笑顔で頷いた。


「うん、ありがとう!」


やっぱり優しいな、氷上くん。昔と全然変わってない。


苦手な教科の勉強も、友達と一緒ならもっと頑張れそうだし。
心強いことこの上ないよ。


氷上くんが同じ塾で本当によかったなぁ……。



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