温厚で優しい性格をしていて、見た目も爽やかでイケメンだから、みんなに王子様みたいって言われてたんだっけ。


背が伸びて大人っぽくなってたから一瞬わからなかったけど、中学時代よりもさらに男らしくなってカッコよくなってるような気がする。


氷上くんもこの塾に通ってたんだ。


そう言えば彼、あの名門の星川学園に通ってるんだった。中学の頃から成績もトップレベルだったもんなぁ。


「久しぶりだね。元気だった?」


氷上くんがそう言ってほほ笑みながら私の顔を覗き込んでくる。


「う、うん。氷上くんこそ」


「まさかこんなところで会えるなんて思わなかった。藤宮さんもここの塾通ってたんだね」


「あ、うん。私、実は今日が初めてなの。だからまだ、何もわからなくて」


私がそう言うと、氷上くんが私の机の上に置かれた新品のテキストに目をやる。


「そうだったんだ。俺は今年の春休みからここに通ってるんだ。もしわからないこととかあったらなんでも聞いてよ」


「うん、ありがとう」


相変わらず親切で優しい彼。見た目は少し変わったけど、中身は全然変わっていなくてなんだか安心する。