【完】俺の隣にいてほしい。

彼は平気そうに話すけれど、なんとなくそのケガがすごく気になって。


「あ、私、絆創膏持ってるよ」


私はカバンの中のポーチから絆創膏を一枚取り出した。


「あの、よかったらこれ、使って」


「えっ。いいの?」


「うん。えっと……手出してもらってもいいですか?」


どうせなら貼ってあげたほうがいいかなと思い、少し照れながらも声を掛けたら、椿くんが驚いた顔をしながら手を差し出してくる。


「ふっ、なんで敬語?」


「あ、ごめん。つい……」


そのまま絆創膏を彼の指に丁寧に貼り付ける。


そしたらそんな私の姿を見つめながら、椿くんがボソッとつぶやいた。


「……変わってねぇな。そういうお人好しなとこ」


「えっ?」