【完】俺の隣にいてほしい。

すると椿くんに思いがけないことを言われて、再び心臓がドキッと跳ねた。


ウソ。それじゃあ、アイコンの画像が椿くんとお揃いになっちゃうけど……いいのかな。


そんなことしたら、本物のカップルみたいだよ。


「わ、わかった。今送るね」


「サンキュ」


言われたとおり椿くんに送ったら、椿くんはその場でその画像を自分のメッセージアプリのアイコンに設定した。


私も同じように設定し、二人でスマホを見せ合うと、アイコンに同じ画像が並んでいる。


椿くんに「お揃い」なんて言われて、ちょっぴり照れくさかったけれど、彼が私と同じ写真を使ってくれるなんて思わなかったので、すごく嬉しかった。


まじまじとスマホを見つめてしまう。


だけどその時ふと、スマホをタップする椿くんの指先に目が行った。


人差し指に斜めにひっかいたような傷ができている。


「あれ? 椿くん、手ケガしてる?」


思わず声を掛けたら、椿くんはケロッとした顔で答えた。


「あぁ、これな。さっきバイト中に、廃棄の弁当のプラスチックのふたで指切ったんだよ」


「えぇっ、大丈夫? 痛そう……」


「大丈夫。こんなケガしょっちゅうだから」