それを聞いてなんだか急に色々と申し訳なくなってくる。


私のドジのせいで、椿くんに余計な心配をかけちゃった。


だからあんなに怒ってたんだね。いきなり殴ったりするからびっくりしたけど、椿くんは私があの人たちに突き飛ばされたって思ったんだ。


まぁ、どちらにしろ、殴るのはよくないと思うけど……。


「ううん、違うの。ごめんね。なんか、勘違いさせちゃって」


気まずい顔をして謝ったら、椿くんはホッとしたように言う。


「いや、まぁ、なんもされてねぇならよかった」


そして、付け足すようにボソッと呟いた。


「でも、もうしないから」


……えっ?


それは、どういう意味なんだろう。


ドキッとして顔を上げると、椿くんが私の目をまっすぐ見つめながら言う。


「心音の言うとおり、暴力はよくねぇよな。もう絶対、手は出さねぇって約束する。」


その表情は、さっき殴ったことをすごく反省している様子で、私は思わず目を丸くした。


ウソ。そんな……。


私がさっき、暴力はよくないって言ったから?


「だから……俺のこと、嫌いになったりすんなよ」