【完】俺の隣にいてほしい。

「おい心音、大丈夫か?」


椿くんが心配そうに声をかけてくる。


「だ、大丈夫。ありがとう」


「ケガとかしてねぇか?」


「うん。してないよ」


「ごめんな。俺が一人にしたせいで」


そうやって申し訳なさそうに謝ってくる彼は、いつもどおり。頼もしくて、優しくて。さっきまでの怖い顔をしていた彼はもうどこにもいない。


「ううん。そんな、椿くんのせいじゃないよ」


だけど、心配してくれてありがたいと思う反面、ちょっとだけ複雑な気持ちだった。


椿くんが私のことを助けてくれたのは、本当に嬉しかった。すごく強引な人たちだったから、困ってたし。


だけど……。


「でも、あの……べつに、今のは殴ったりしなくても……」


おそるおそる、思っていたことを口にする私。


「ぼ、暴力は、良くないと思う……」