【完】俺の隣にいてほしい。

「いっ、いててて！　は、離せっ！」


「謝れよ」


男の子に向かって、低い声でそう告げた椿くん。


「いいからこの子に謝れ」


なんだかもう見ていられない。どうしよう。


わけもなく一人で慌ててしまう。


「おい、こいつなんか、強そうじゃね？　やべーぞ」


隣で見ていたもう一人の男の子が、ビクビクした様子で口にする。


「わ、分かった！　悪かったよ！　謝るから、離せって」


そしたらそこで観念したかのように手首を握られた男の子が謝ってきて。


私もそこでおそるおそる、椿くんに声をかけた。


「つ、椿くん、もういいよ。大丈夫だからっ……」


その瞬間、ようやくパッと手を離した椿くん。


「い、行こうぜ！」


男の子たちはすぐさま逃げるようにその場から去っていった。