【完】俺の隣にいてほしい。

そして、今度はもう一人の男に肩に腕を回されて、ビックリした私が身を離そうとしたら、うっかり足元の段差につまずいて転んでしまった。


「……ひゃっ!」


とっさに地面に両手をつく私。


あぁ、もう、なにやってんだろう。恥ずかしい。自分でこけちゃうなんて。


そしたらそこで、どこからともなく大きな怒鳴り声が聞こえてきて。


「おいっ、てめぇ、何やってんだよ!」


ハッとして顔を上げたら、次の瞬間、先ほど肩を組もうとしてきた石ノ森の男の子が、誰かに思いきり頬を殴られる姿が目に入った。


……えっ!?


その勢いで、ドサッと地面に倒れ込む男の子。


突然のことに、一体何が起こったのかわからない。


よくよくその殴った相手の顔を見たら、そこにいたのはなんと、あの椿くんで。


驚きのあまり、私はその場で口を開けたまま数秒間固まってしまった。


ウソ……。ウソでしょ。


どうして、椿くんが……。


一気に心拍数が上がって、落ち着かない気持ちになる。


「ってぇ~、何すんだてめぇ」