窓から景色を眺める。

日本というよりはヨーロッパに近い街並みだ。


「そう言えば、よく一週間も休みが取れたね?」


ロイが一週間も休みが取れるなんて………思いもよらなかった。


「エバンズ夫人に交渉したんだ。『リンが働き過ぎだ』と。」

「あー、それで?突然、ミシェルに『一週間休みをあげるわ』って言われた訳だ。」

「『ここ2ヶ月程、リンが働き過ぎだ。俺との時間が削られる』とエバンズ夫人に交渉した。」

「ロイだって働き過ぎだよ。」

「リンと旅行に行きたかったからな。やる事はやっておかないと。」


私も忙しい日々だったが、ロイも忙しい日々を過ごしていた。

だから2人で過ごす時間は少なかったかもしれない。


「それに………。」

「それに?」


珍しく口籠るロイを見れば、真っ直ぐに前だけを向いて運転している。

中々言わないロイを不思議な顔で見る。


「ロイ?言い掛けて止めるなんて、凄く気になるでしょ。」

「………そろそろ一緒に寝たい。」

「………………。」

「黙るな。」


いやいや、何て返事すればいいの?

静まり返る車内。


「嫌か?」


ロイの不安気な言葉が聞こえてきた。