「わかったから寝なよ」
「…………」
やっぱり思った通りだ。
雪夜は寝ぼけていたようで、私が寝ろと言う前にゆっくり目を閉じてまた眠りについたのだ。
「……こんなやんちゃになって」
雪夜の手が自然と私から離れたため、今度は銀色の髪に触れてみる。
すずくんはやんちゃとは正反対に位置する人で。
いつもビクビクしていた。
逆に周りから『怖くないよ』と言われるほど。
それが今じゃ周りが恐れるような存在で、さらには背中いっぱいに和彫りまで入れて。
変わってしまった。
本当に。
けれどそれは肉体的な強さと見た目を手に入れただけ。
中身はまだまだ子供。
ひとりじゃどうにもできないらしい。
それじゃあ逆に私がいたら?
私が雪夜のそばにいたら、少しは救われる?
「……雪夜、仕方ないから私がそばにいてあげる」
少し重心を前にかけ、目を閉じて眠る雪夜の唇に、そっと自分の唇を重ね合わせる。
触れるだけのキスをした後は、自ら雪夜に抱きついた。
それから間もなくして、雪夜も私の背中に手をまわしてきて。
やはり抱き枕のような存在が必要らしい。
仕方なく今日は身を預けてやろうと思い、そのままの状態で私はゆっくり目を閉じた。