「なっ、何言ってんだよ親父」 俺は弾かれたように親父を見た。 問題発言をした親父は、 空いたグラスにウィスキーを足し マドラーで混ぜる。 本来なら女がやってくれるが 席を立ったきり、 戻ってこないため親父がセルフでやった。 「情報収集、だけど?」 親父は涼しい顔で言い、 グラスに口をつける。 俺はため息をついた。 こんな親父を一途に愛する クソババァ(母さんのこと)が 少し可哀想に思えた。 「クソババァに 言いつけてやろうか?」 当てつけに言うと 親父は肩をすくめた。