デュオに再び刻印されて10日目の朝。

わたしはデュオの刻印が消えているのではと不安で、起き掛けに鏡の前に行くと首のキスマークを確認した。

「よかった…。残ってる」

昨日までよりは少し薄まっている気がしたけど、デュオの刻印は確かにわたしの首に刻まれていた。

わたしはキスマークを指でなぞる。

そこにデュオの唇の温もりが残っている気がして、わたしの胸は熱くなった。

「今日こそは、来てくれるかな…」

狙った獲物は逃さないというヴァンパイアであるデュオなら、きっと会いにきてくれる。

デュオを想うだけで、わたしの胸はトクンと波打つように跳ねた。




「サラ………なにこれ…?お城……?」

この日の夕方、サラからの電話で呼び出されたわたしは、サラ一家が所有しているという別荘のうちの一つに招待されていた。

サラに連れられてきたその別荘は、古城とも言うべきお城で、ディズニーランドのシンデレラ城ばりのお城がロンドンの郊外にでーんとそびえていた。

「パパの趣味でねぇ。映画に出てくるようなお城が好きなのよ。で、建てちゃったわけ」

建てちゃったわけって!

やっぱりサラのとこはスケールが違うなぁ…。

わたしの家はせいぜい建てるならホテルで、お城なんて考えられないわ…!

サラの突拍子もない行動や言動は、こういう家庭に育ったからこそなのだと、妙に納得している自分がいた。