「来い!
手当てしてやる」

「いや…
平気だし
遊びに行くから」

瑛ちゃんは腕を掴むと
歩きだした

どこに行くの?

「怪我をしている人を見ると
仕事をしたくなっちゃうみたい」

お姉ちゃんがフォローしている

でも
ちょっと
苦しい言い訳な気がする…

お姉ちゃんや
百合子たちの顔が遠ざかっていく

瑛ちゃんが掴んでいる手が
痛くて
逆らうこともできなかった

近くのコインパーキングに
入ると
瑛ちゃんの車があった

お姉ちゃんたちは
ここまで車で来て

それから道を歩きながら
喧嘩が始まったってことなのだろうか

車の鍵を遠隔操作で開けると
瑛ちゃんは後部座席に
私を押し込んだ