一気に未来が開けた気がして、みんなにも笑顔が浮かんでいる。


『この家から徐々に移動して、隣町まで行けたらいいけれど……』


そこまで言い、昌良は言葉を切った。


はたしてそんなにうまく行くだろうか?


少しずつ移動すると言っても、風はいつ吹くかわからない。


今回は運よく玄関の鍵が開いていたけれど、民家に逃げ込めない可能性だってある。


「昌良、今日は風が強いみたいだから移動するのはやめておけよ」


新人がそう言った。


自分のスマホで天気を確認してみると、雨風が強くなると書かれている。


『わかった。無理はしない』


昌良がそう言って家の中の様子を映し出す。


テーブルの上にピンク色のスマホが一台置かれているのがわかった。