あたしたちが今いる町の中はあちこち黒煙があがり、道は赤く染まっている。


きっと、外に出ていた人たちが風によって切り刻まれ、そのまま死んでいったのだろう。


これが日本で起こっている出来事だなんて信じられなかった。


しかも、自分の町での出来事だなんて……。


「千穂、新人が心配してる」


そう言われてパソコンから視線を逸らすと、恵里菜があたしのスマホを指さしていた。


画面には新人からのメッセージが表示されていて《新人:大丈夫か?》と、一言書かれている。


「目張りはできたし、教室へ戻ろうか」