そうこうしている間に、横転した車から3人の生徒たちと小池先生が出てくるのが見えた。


「助けに行かないと!」


「どうやって行くんだよ! 外に出なきゃいけなくなるんだぞ!」


「そうだけど……!」


このまま見捨てることなんてできない!


せめて一番近いこの窓を開けて入れるようにしてあげればいいんだ!


そう思ったが、窓はあたしたちが目張りをしてしまっている。


それでもあたしたちの姿を見つけて走って来る飯田君たち。


「早く、目張りを外さないと!」


ガムテープを何重にも貼り付け、隙間がないよう頑丈にしてしまったことを、この時ばかりは後悔した。


「開けてくれ! 早く!」


「風が吹いたら殺される!」


外からの叫び声がやけに遠くに感じられる。


必死でドアを叩き、開けてくれと懇願する生徒達。


わかってる。


わかってるよ!


焦れば焦るほど、手はうまく動かなくなる。